エビ神 3行ニュース 過去に辛いことあった人向け

楽しく生きるための考え方とヒント集

ぼくらはエイリアンに恋をする。(6)

サンド「静かな夜だねえ。」
クスコ「虫の鳴き声しかしないな。」
サンド「どこにいくんだい?あてはあるのかい?」
クスコ「ないね。ただ、匂うんだよね。やつは動き回って匂いを拡散させてやがる。」
サンド「動きまわるエイリアンかじっとしているエイリアン、その2種類しかいないからね。動物型とか虫型とかヒト型とかそんな区分、あほだよねえ。」
クスコ「そう。今回は動きまわるエイリアンだ。いたるところに匂いや気配を残しているからな。」
サンド「そして、あれだねえ。自分の居場所を必死に探しているエイリアンじゃないかい?どうしてだろうね。彼は生き物に会うたび、殺してる。自分より強いやつを探しているようにも感じるね。この凶暴なエイリアンは間違いなくレッドだね。」
クスコ「おれも同意見だ。外に出て、はっきりした。やはり2000内のエイリアンだとは思えねえ。この匂い、空気の質は2000外のエイリアンだ。まぁそれはありえねえから謎なんだがな。小虫とネズミしかいねえのも気になる。」
サンド「生態系を壊した犯人だったりしてね?この惑星の生態系において自分がどこの位置にいるのか、模索している感じもあるね。突然変異の生き物か?」
クスコ「突然変異ねえ。それ以外考えられないよな。でもなあ、この惑星の匂いとは違うようなあ。敵わないと思ったら、速攻で逃げて、この星から脱出するぞ。フジサワのやろう、1000万じゃあ割に合わねえよ。」
サンド「クスコ見てくれ。この足跡。」
クスコ「いわゆる人型の足跡だろ?さっきから、ちらほらあっただろ。気づいていたろ?」
サンド「いや、この足跡は違う。」
クスコ「なに!?」
ライトで照らされた足跡は約1メートルほどの幅がある。
旧兵器の戦車、そうキャタピラのような足跡だった。
サンド「いつの足跡だ?」
クスコ「踏まれた植物は枯れてる。結構前だね。」
サンド「気持ちが悪いな。まるで巨大なムカデだ。」

ーーーーーロコモコ宇宙船
カワバタ「おお。巨大な母船だねえ。何人乗っているんだい?」
リー「船は大きいですが、人員は10人ですよ。ただ、人以外の荷物はたくさんありますがね。」
カワバタ「そうか。エイリアンの独特の匂いがここまでプンプンするもんな。いったい何体、この船に抱えているんだ?」
ロコモコ「189体だ。全てソルは打ってある。末端価格で11億ぐらいだな。」
カワバタ「!!」
エリ「ロコモコのおじさん、なんだかカッコよく見えてきたわあ......」
カワバタ「えりちゃあん!」
リーは怪訝そうな顔をする。
ロコモコ「帰ったぞ!我が仲間たちよ!」
ロコモコの部下A「隊長!おつかれさまです!」
ロコモコの部下B「隊長!ご無事でなりよりです!」
ロコモコ「はーい。おつかれ。本当に疲れたぜ」
ロコモコの部下B「おや、そいつは?」
ロコモコ「こいつは、この惑星の原始人、ゲンだ。この惑星の情報源だから、丁重にな。」
ロコモコの部下B「了解しました!」
カワバタ「ロコモコさんは一体なにをしている人だい?部下の制服にラビットソン産業のマークが付いているけどさあ」
リー「隊長。もう隠せませんよ。ここまできたら。ほんとうにもう。」
ロコモコ「うむ。おれは、あくまで日本の第3委員会と捕獲者の間をとりもつ仲介業者である。」
エリ「それだと、ラビットソン産業のマークの説明になっていないような・・・」
リー「珍しくエリさんのいうとおりです。こんな小娘にも、違和感かんじさせているんですよ。」
エリ「あなたも小娘だろうよ!きいー!!」
ロコモコ「うーむ。もはや、しょうがないか。私は、仲介業者かつラビットソン産業の日本支部社員、かつ、アメリカの第1委員会登録の捕獲者でもある。いわゆる、スパイってやつだ!はっはっは!」
ロコモコは腹を割って話した。
カワバタ「わしはこう見えて、日本の発展を願う捕獲者だ。それは実にききたくなかった!だが、えりちゃあんの恩人である!だが、わしは聞かなかったことにできない!うーむ!!実に煩悩」
その時だった。ロコモコの携帯端末がなる。
“プルルルル”
“プルルルル”
ロコモコ「マキじゃねえか。なんだ、あのど素人が。何の用だ。」
ロコモコ「はい。こちらロコモコだ。一体なんのようだ?」
マキ「さっきは悪かった。わざわざ、ミウラとルースのことを伝えてくれたんだな。」
ロコモコ「ふん。おれは伝えてねえ。伝えたのはリーだろうが。」
マキ「ミウラとルースは無事に解放された。本当にありがとう。お礼というわけではないが、情報を共有したい。」
ロコモコ「なんだ?」
マキ「さきほど、原始人の村長と話した。驚いたことに、その村長はなんと、アメリカ人だった。過去に惑星間旅行中、この惑星にたまたま不時着したらしい。英語が話せるジックがいたから、いろいろと聞いてきたんだ。」
ロコモコアメリカ人だと?地球に帰る気はあるのか?」
マキ「いや、ないらしい。彼の家族は、この惑星で死んだらしいんだが、死んだ家族の近くにいたいとのことだ。」
ロコモコ「そうか。あとはなにか聞いたか?」
マキ「それでな、この星には1年前に日本が放った別の惑星のエイリアンがいることが判明した。そいつが、この星の生態系をめちゃくちゃにしているようだ。わたしたち捕獲者はそいつの捕獲依頼を受けている。生きた状態での捕獲だ。」
ロコモコ「なにい?日本が、そんなロシアや中国みたいなことするのかよ。確かか?」
マキ「ああ。可能性が高い。わたしたちが依頼を受けたタイミングから察するに、間違いない。それに来年、ロシアで開催される世界エイリアン武闘会があるだろう。おそらく、この惑星で行われていることは、エイリアンに対する実技試験だ。つまり日本代表候補としてふさわしいか試しているのでは、と推測されるな。」
ロコモコ「なるほど。それは、良い情報だぜ。」
マキ「あくまで、さっきのお礼だ。それと興味深い話があった。そのエイリアンは、自分と遺伝子情報が遠い生物を好むらしい。なぜかネズミとは仲が良いらしく襲わないらしい。ただ、人間は、やつにとっては遠い生物に含まれているらしいからロコモコたちも気をつけてくれ。」
ロコモコ「なにい!?もう一度いってみろ!!」
ロコモコは大声を出す。
リーやカワバタたちは、その声に驚く。
マキ「ネズミの話か?」
ロコモコ「違う!遺伝子うんぬんの話だ!!」
マキ「だから、そのエイリアンは、自分の遺伝子情報と離れているやつを好んで襲うんだと。2回いわせるな。」
ロコモコ「その遺伝子うんぬんの話を1番先に話せ!!馬鹿野郎!!」
マキ「はああ?なんだてめえ!図に乗りやがって!!」
”ブチッ“
マキ「切りやがった!なんだこのやろう!」
ロコモコ「全員、総員、耳をかっぽじって聞きやがれ!!超大至急、この惑星から離れるぞ!!」
エリ「ええええ!!!わたしのバックとか、宇宙船にあるんだけどお!」
ロコモコ「うるせえ!だまってろ!本艦、エイリアン運搬船は、凶暴なエイリアンに襲われる可能性が非常に高い!!はやく出発しろ!」
ロコモコ(まるでこの船はやつにとって、食べ物が大量に詰まった冷蔵庫じゃねえかよ!!)
ロコモコの部下C「了解しました!超大至急発進します!乗員は全てのハッチの閉鎖および閉鎖の確認!!」
ロコモコの部下A「第1層居住区、閉鎖しました!クリア!!」
ロコモコの部下D「第2層機械作動区、閉鎖しました!クリア!!」
ロコモコの部下E「第3層バーアンドラウンジ区閉鎖しました!クリア!!」
“ガァーン!!”
宇宙船の外から、ものすごい音がした。
その音のあと、すぐに宇宙船内に警報が鳴り響く。
エリ「きゃああああ!」
カワバタはエリを自分の体に寄せる。
リー「どういうことですか!?船員各自モニター状況確認しなさい!」
ロコモコ「くそがあ!!」
宇宙船内に振動が遅れて伝わってくる。
ロコモコ「気にするな!はやくハッチを締めて、発進しろ!!」
ロコモコの部下F「隊長!第4層エイリアン格納区、閉鎖できません!!何者かがすでに本艦に進入した模様です!!ハッチが閉鎖できないため、また、何者かの攻撃で艦体躯体に穴が空いたため、発進できません!!!」
ロコモコ「まじかよ!!急いで189体のエイリアンの状態を確認しろ!!」
ロコモコの部下B「了解!ただちに確認!」
モニターにエイリアンの状態を示す映像が写し出される。
ロコモコの部下C「報告します!No.110からNo115、絶命しています!!檻の中で逃げ場がない状態になっているものと想定されます!!あああ!No.116絶命、117も絶命しました!!」
エイリアン格納区の方から、日本語だろうか。悲鳴や叫び声が聞こえてくる。

ロコモコ「くそがあ!!!しょうがねえ!!全ての檻のロックを解除しろ!!!」
リー「だめです!!隊長!!捕獲したエイリアンが、この惑星に逃げて散ってしまいます!!艦体に穴が空いているんですよ!!納品前の商品なんですよ!!」
ロコモコ「うるせえ!だまって殺されるのを見てられるか!!これはおれの個人的な慈善事業だ!エイリアンにも命があるんだよ!!」

カワバタ「ほお!」
ゲン「うむ!」
ロコモコの部下A「エイリアン格納区における檻のロック、全て解除します!!」
ロコモコの部下E「全て解除しました!エイリアンたちは一斉に逃げている模様です!」
ロコモコの部下B「No.130絶命しました!No.156も絶命!」
ロコモコ「くっ!!館内放送のマイクをオンにしろ!!」
ロコモコの部下C「了解しました。エイリアン格納区マイクオン!」

ロコモコ「おい!!エイリアンたち!!聞け!おれだ!てめえらを運搬しているロコモコだ!!今、おまえらのいる場所に、やべえエイリアンがいる!てめえらがかなう相手じゃねえ!!自分の命をいちばんに大切にしろ!!必死に逃げるんだ!!これは命令だ!!」

リー「!」
リー「.......さ、さすが隊長ですね。わたしはずっとあなたについていきますよ。」
普段、笑顔を見せないリーが笑っていた。

カワバタ「このご時世において、ケダモノに対するその心意気!!」
カワバタは長い刀身をゆったりと抜き、エイリアン格納区へ歩きだす。
エリ「え?いくの?だめだよ!」
カワバタ「わしが行くしかないだろう?それに、いつ、ここに来るかわからないだろう?そうなれば、えりちゃんが心配だ」
ロコモコ「すまん。ミスターカワバタ。あとでおれも行くから、なんとか耐えていてくれ!」
ゲン「しょうがねえ。おれも行くぜ。使い物にならないがな。囮役にはなるだろ?」

ーーーーーエイリアン梱包区 
No.125「おい!奥が騒がしい!!どうなっているんだ!」
No.117「一体てめえなんだ!うわあああ!おれの腕と足があああ!助けてくれえ!」
ムカデのようなエイリアンは、檻を鋭い牙で無理やりこじあけ、一瞬で殺し食らう。
幅は1mで体長は約5m程度あるだろうか。ずんぐりむっくりした体は黒光りしていた。
ネズミのような尻尾があり、長さは約2mくらいだ。
頭部には目が大量にあり、クモを彷彿とさせる。
開けた口には無数の牙があり、牙一つ一つが振動していた。
おそろしいスピードで、次々とエイリアンを襲っていた。
ムカデ「ぬああん。ぬああん」
奇声をあげている。
”ブチ“
館内放送の入る音がする。
ロコモコ「おい!!エイリアンたち!!聞け!おれだ!てめえらを運搬しているロコモコだ!!今、てめえらのいる場所に、やべえエイリアンがいる!てめえらがかなう相手じゃねえ!!自分の命をいちばんに大切にしろ!!必死に逃げるんだ!!これは命令だ!!」

No.143「おー!檻のロックが解除されたぞ!なんてラッキーなんだ!今のうちに逃げてやるぜ!ヒャッホーウ!ヒャッホーウ!みんな逃げようぜー!おれに続けえ!これは命令だあ!」
No.143のエイリアンは、熊のようなエイリアンである。イエロー指定のエイリアンだ。No.143を捕まえた捕獲者は、引き渡す際に、ロコモコにこういった。
ある捕獲者「ロコモコさん。この報奨金じゃあ割に合わねえよ。このエイリアンは知能に限って言えばレッド級だぜ。運搬する際は十分に気をつけてくれよな。苦労して捕獲したんだから。」

No.189「一体どうしたんだ。この騒ぎは。おれはマキという女に捕まって、ロコモコという男に成長速度を褒められ、色仕掛けしろと言われたんだ。鍵が開いている。どうしたものか。おれはどうなるんだ?知らない。殺されるのか?おれは一体なにものだ?」
No.189は猿のように手足の長いエイリアンである。
このエイリアンは自問自答をする。自問自答という行為が、知能を急激に成長させる。
このエイリアンは、ほかのエイリアンと違う点が一つある。
それは、ジックが精製した特別なソルが打たれていることだ。
1人でゆっくりと惑星の外へ歩き出す。

No.9「ふん。ロコモコのやろう。直接、俺様を捕獲できる力があるくせに、このザマかよ。だせえな。やべえエイリアン?おれをなんだとおもってやがる。てめえらでいうところのオレンジ指定だぞ。なあ。No.7もそう思うだろ?」
No.9は、人型のエイリアンであり2m近くある。頭に角が生えているのが特徴だ。
No.7「ふん。なに、気安く話しかけてきてんだ?いつ、てめえと仲良くなった?檻が近いからといって、馴れ馴れしいんだよ!」
No.7も、人型のエイリアンである。メスのエイリアンであった。普段は二足歩行であるが戦闘する際には、獣のように4足歩行となり、素早いスピードが自慢だ。
No.9「はっはー!仲良くやろうじゃねえか!最初で最後の惑星間旅行だぜ!そうそうねえぜ!」

No.8「No.7、No.9よ。おまえらのプレートの色は橙のようだな。ほかのやつらは緑とか青、時々、黄だが、我のプレートは何色だ?」
No.8も人型のエイリアンである。身長は170cmぐらいである。ウサギのような丸い尻尾と赤い目が特徴だ。
なお、No.8はこの189体の中で唯一のレッド指定のエイリアンだった。
No.9「いやみか?てめえ。No.7、こいつやっちまうか」
No.7「ああ。いまのはおれもムカついたぜ。」

No.8「悪い。戦う気は一切ないんだ。我はどうしてレッド指定なのか分からないんだよ。おれは温厚だ。橙のきみたちを2人を相手にすると、わたしは負ける。だから、戦うのは勘弁だ」
No.8は、顔を下に向けて、にやりと笑っていた。
No.9「ふん、わかってるじゃねえか。そうだ、名前、どうしような。めんどくせえから、これからNo.7をセブンと呼ぶぜ。No.8はエイトだ。おれのことはナインと呼んでくれ。仲良くしようぜ!楽しい観光旅行なんだからな!!」

ムカデ型エイリアン「ぬぉーん。」
No.125「うわああ、助けてくれー!頼む!そこのおまえ、助けてくれ!」
”ぐにゅう“
腕が食べられている。
No.109「おれには無理だ!!ほんとうにすまん!!」
ムカデ型エイリアンは次々と捕食していく。

カワバタ「むごいな。これは。」
カワバタは地面に散った大量の肉片を見て、慎重になる。
荷台の影に隠れて、ムカデ型エイリアンの様子を伺っている。
カワバタはロコモコに電話をした。
”ぷっるぷっるぷっる“
ロコモコ「もしもし、どうだ?そっちの様子は?」
ロコモコは間髪をいれずに状況をきく。
カワバタ「ロコモコさん、犯人はムカデのようなエイリアンだ。体長は尻尾を除いて3メートルぐらいだ。もはや、ここはエイリアンの死体の山で、非常に汚物!」
ロコモコ「そうか。気をつけてくれ。決して無理はするな。やばいと思ったら逃げてくれ。」
カワバタ「ああ。状況次第では、そうするよ。では。」
“ツーツーツー”
カワバタは携帯端末を切った。
ゲン「檻ごと潰しているのもあるな。やつは何がしたいんだ。知能は低そうだが」
カワバタ「ただのパワー系なのかもな。」
ナイン「おい!おまえら!なにしている?」
カワバタは振り返る。
カワバタは思う。
(くそ、こんなときに。違うエイリアンか。)
セブン「人間に似ていないか。こいつら。」
エイト「きみたちも檻の中にいたのかい?」
この3体のエイリアンは明らかに、ほかのエイリアンとは明らかに違う空気をまとっていた。
ゲン「ちが...!」
カワバタは手で咄嗟にゲンの口を押さえた。
カワバタはゲンにアイコンタクトを送る。
カワバタ「ああ。そうだ。檻のロックが解除されたときは、驚いたな。おれを捕まえた捕獲者がにくいぜ。この肥溜めからはやく逃げたいぜ。」
ナイン「はっはー!人間がにくいだと!?」
カワバタ(しまった。失敗したか!?)
ナイン「最高じゃねえか。てめえを捕獲したエイリアンは結果的に観光旅行をプレゼントしてくれたんだからなあ!」
カワバタ「ああ、たしかにな......」
セブン「ところで、おまえらの色はなんだ?オレンジか?」
カワバタ(なに!危険度指定の色か!こいつら、人間が決めた色で勝手にランクづけしてやがる!)
カワバタ「いや、おれはイエローだ。」
ゲンにアイコンタクトを送る。
セブン「そうか。おまえは?」
ゲン「ブラックだ。」
ゲンは真顔で答える。
カワバタ(ブラックだとおおお!?そんな色はねえよ!なぜ、おれと同じ色をいわねえ。)
ナイン「ブラック?そんな色あったか?エイトは知っているか?」
エイト「よくわからないがフラックはレッドより上なんじゃないか。少なくともレッドの俺より、こいつは強そうだ」
カワバタ(なに、レッドだとおおお!)
セブン「たしかにな。二足歩行で、毛深く、ごつい。なかなかいねえよ。こうゆうタイプは。オレンジのおれらじゃあ、敵いそうもないな、ナイン。」
カワバタ(こいつらはオレンジなのかよ!2体もだと!?レッド1体にオレンジ2体か。くそがっ!)
ナイン「やってみねえとわかんねえよ。見た目じゃあ判断つかねえ。それにおれは、人間どもの会話でブラックなんて聞いたことがねえ。」
ゲン「やるか!このやろう!」
カワバタ(こいつはばかか!煽ってんじゃねえよ!おめえは雑魚なんだよ!囮役の意味勘違いしてんじゃねえか!)
カワバタ「まあまあ、ゲン。いまは戦っている場合じゃないだろ?あいつを見てみろ。」
カワバタは遠くのムカデを指差す。
セブン「あなたはゲンっていうのか。ブラックだと、番号もふられてない特別扱いなのか。まてよ。ゲンじゃねえよ。ゲンさんだろ?」
セブンはそういつと、カワバタの頭を小突く。
カワバタ「(ああああ.....)はい。そうですね。これから、ゲンさんと呼びます。」
カワバタは顔を下に向け、怒りの形相をしていたことはだれも知らない。
エイト「あーあいつか。この騒ぎの原因は。」
エイトは、ムカデの方を見る。
カワバタ「そうです。あいつです。レッドのようです。」
エイト「そうか。我と同じレッドなのか。」
ナイン「さっさとやっちまうか。おれは気に食わねえことが一つある。ロコモコのやろう、さっき、“おめえらじゃかなわねえ、逃げろ”と言ったことだ。」
セブン「ふん。確かにな。おれもムカついてきたぜ。」
セブンはナインのいうことに同調する癖がある。
カワバタ(殺されるのはまずい。生きたままでないと。1000万円がもらえない。いや、カワバタよ。この状況で1000万円はもう困難!!)

もう少しで朝日が昇る。
空いた穴からは、薄い青の明るい光が差し込んでいた。

ーーーーークスコとサンド
クスコ「あれ?ジャングルの雰囲気が変わったかい?」
サンド「ああ。いろいろなエイリアンの匂いが急にしてきたねえ。」
クスコ「もはや、意味がわからないな。なあ、もしかして、おれら、知らない情報が多すぎなのか?」
サンド「ああ。かなりな。今日はほとんど、カードゲームをしていたからね。」
クスコ「そうだな。新人たちも無事だといいんだがな。あー臭うねえ。」
サンド「そうだね。すぐ近くにいるからね。ほら。」
クスコが、匂いのする方へ向かう。
クスコ「よぉ。ここで、なにしてるんだ。」
No.181「うわっ!びっくりした!暗くて、分からなかったよ!」
クスコ「お、日本語を話せるのか。ソルを打たれたあとに、よく逃げることできたな。ていうか、おまえ、この惑星のエイリアンか?ヒレが背中についているように見えるが。」
クスコはエイリアンをライトで照らす。
No.181「この星のエイリアンではないよう。情報を渡すから、見逃してくれよう。頼むよお。」
クスコ「情報の内容次第だ。まず、おまえがなぜここにいるか話せ。それが“良い情報”なら、逃がしてやるよ。だがな、この近くに水辺はないぞ。大丈夫か?空から川は見えたがな。約100キロメートル先にあったと思ったが。」
No.181「え?そうなの?教えてくれて、ありがとう!まぁ、遠くても、いくしかないよ。せっかくロコモコがぼくらを逃がし、自由にしてくれたんだから!このチャンスを無駄にしないんだ!ぼくは!」
サンド「ほぉ、あの胡散臭い敬語の仲介業者か。この惑星に来ていたのかい。あいつは匂うんだよねえ。ぼくらと言ったが、ロコモコが逃がしたのは何匹だい?」
No.181「分からないけど、100はいるんじゃないかな?ただ、訳の分からないムカデみたいなやつに殺されたエイリアンもたくさんいたよ。いま、ロコモコの船の中はたいへんなことになってるよ!どう?良い情報だった?」
クスコ「なるほどねえ。ムカデねえ。それと、ロコモコくんは日本の捕獲者が命をかけて、捕獲したエイリアンを簡単に逃がしたと。あいつはただの仲介業者じゃねえな。逃す?理解できないねえ。罪深いねえ。」

サンド「実に罪だねえ。それは“悪い情報”だった。ということで死ね。」
サンドは電子銃の引き金を引いた。
“ヒューンヒューン”
No.181の頭からは血が流れた。一撃だった。
2人の紫色のスーツは死神のようだ。

クスコ「エイリアン風情が夢をみているんじゃねえよ。」

サンド「ちなみに、今のエイリアン捕獲台帳にいたな。100万円だってよ。ペット用だから生け捕り限定だけどさ」
サンドは捕獲台帳の端末を見ている。
クスコ「惑星のボスの報酬1000万円より、いまのやつ10匹捕まえた方が、楽だよな……ぜったい。割に合わねえなあ。あーでも、水の中だと、捕まえづらいのか……」
クスコは、時々、どうでもよい話に変わる癖があった。
クスコは、話が変わるくせがあった。

サンド「まぁ、いいじゃないか。さてと、キャタピラのような足跡の主も、罪深いロコモコくんの居場所も分かったね。」
サンドは話を要点に戻す。
クスコ「ああ、行き先は決まりだ。もし勝てそうならムカデ野郎を生け捕りにして、地球の日本へ帰るぞ。あと、ロコモコくんの件はどうしようねぇ……まぁ、人間だろうがエイリアンだろうが……」
サンド「あぁ。捕獲依頼が一体増えただけだ。人間というエイリアンだがな。まあ、新人たちが無事なことを祈りながら、向かおうよ。」
クスコ「そうだな。」
サンドとクスコはロコモコの船に向かって、ゆっくりと同じ歩幅で歩き出した。
道中でたまたま出会ったエイリアンはことごとく、なにも言わずに殺していった。

もう少しで朝日が昇る。
朝のジャングルは草木に降りた朝露の水滴に澄んだ空気の匂い閉じ込められている。
風や光によって、その匂いははじけ、澄んだ空気を感じさせる。

だが、2人にとっては、他惑星のエイリアンという異物の匂いに苛立ちを見せていた。
ロコモコの宇宙船が近くになるにつれて、やつの匂いが強くなっていった。

ーーーーー
マキは携帯端末を耳から離した。
ツーツーツーツー……
マキ「あーロコモコの野郎。やっぱりムカつく!せっかく、教えてやったのによう!」
ルース「ふはぁ。眠い。今日この村に泊まるの?」
マキ「そうだな。小休止だ。朝日がでたら、エイリアンを探そう。」
ぼく「くそー。猟銃ぶっぱなしてえ。せめて、おれのけつを見たアイツだけでも。ただ、そいつこの村にいねえんだよ。」
ジック「ケツってなに?」
ぼく「なんでもねえよ!」
ルースはケラケラと笑っている。

女性の若い原始人がちょっとした料理を手づかみでこっそり持ってきた。
原始人「にょんによ」
手を口まで運ぶジェスチャーをする。
食べろということらしい。
まだ真っ暗だが、朝食のつもりだろうか。
ぼくは皿がほしいと思った。

ネズミの丸焼きというシンプルな料理だった。
最初は抵抗があったが、食べてみると、なかなか、美味かった。
ぼくらは、寝ることにした。

もう少しで朝日が昇る。
草木に降りた朝露の水滴に、澄んだ空気の匂いが閉じ込められている。
風や光によって、その水滴ははじけ、爽やかな空気を村に運ぶ。

ーーーーー
ロコモコは、宇宙船全体の不具合箇所と死んだエイリアンの個数を把握をした。
死んだエイリアンの数は現時点で51体。
たかが20分程度の時間において、ムカデ型のエイリアンに殺された。
ロコモコの部下「隊長!モニターを見てください!ジャングルに逃げたエイリアンの一部が、何者かに殺されています!」
モニターには地図が映し出され、エイリアンの位置が青く点滅していた。
点滅している青い点に、キャプションがひかれ、エイリアンの心拍数のような情報が記載されている。
青い点滅が赤の点灯に変わっていく。
つまり死んだことを表していた。
リー「ロコモコ隊長が、あえて逃したっていうのに……一体だれが殺してるんだっ!」
リーは唇を噛み締め、怒りに震えていた。
ビンクの薄い唇は赤く染まった。

ロコモコ「そうか。」
ロコモコはそう一言言っただけだった。
続けてロコモコはいう。

ロコモコ「よし、あとは、ここをリーに任せていいか?エイリアン格納庫にいく。カワバタも心配だしな」
リー「大丈夫ですよ。お気をつけて。ただ、自分の命を1番に優先してくださいね。」
ロコモコ「ああ。」
ロコモコは金槌を手に取ると、緊張した顔もちでエイリアン格納庫に向かった。

もう少しで朝日が昇る。
司令室は、混乱と緊張により、外の様子なぞ、だれも気にしていなかった。
冷たい機械に囲まれた司令室は、自然、天候、時間を感じさせることはなかった。

ーーーーーー
カワバタ「さて、どうしたものか。」
ナイン「てめえの実力じゃあ勝てねえから、さがってな。てめえらも手を出すなよ。おれだけで十分だ。」
セブン「ふん。勝手に決めやがって。」
エイト「この闘いで橙の実力はどういったものか、わかるな。」
エイトはつぶやく。
ムカデ「ちゅうぉおおん!!」
ゲン「おい!こっちに気づいたぞ!」
もの凄い勢いでこちらに向かってくる。
足がサクサク動く様子は気持ち悪かった。
ナインは2メートル近い高さから、拳をムカデの赤い頭に3発連続で振り下ろす。
ナイン「おらぁ!おらぁ!おらぁ!!」
ムカデ「おほ」
ナイン「なに?」
ムカデは何事もなかったように、巨大な丸い口が開き、ナインを食おうとする。
口の中は小さい牙が密集していた。
ナインは咄嗟に後ろへ飛び、攻撃をかわした。
その後もナインはムカデを殴り続けるが一切その攻撃は効いていない。
ナインのパンチ力は決してないわけではなかった。
それ以上に、ムカデが頑丈なのだ。
ナインはムカデは丸い口を開きそうになると、その都度、後ろへ後退した。
セブン「だっせー。」
セブンは小さく、つぶやく。
そのつぶやきとほぼ同時に、エイトは言う。
エイト「すまんな。ほれえ!」
エイトは、手刀のように腕を、ナインの背中から腹にかけて突き刺した。
ゲン「!!」
カワバタ「!!」
セブン「!!」
ナイン「てめぇなにしやがる……」
エイトは突き刺した腕でナインの腹をそのまま裂いた。
ナインの腹からは、黄色い血が滴る。
ナインはだらりと倒れ、気を失った。
エイト「貴様の闘いは飽きた。橙はこんなものか。セブンよ、貴様もこの程度か?」
セブンは一瞬で四つん這いになり、獣スタイルになる。全身の毛が逆立つ。
セブンはいう。
セブン「わたしのスピードなめんなよ。てめえの攻撃なんぞ、当たらねえ。」
カワバタ「そうか。」
カワバタはそういうと、セブンの片足は無くなっていた。
カワバタは一瞬で、刀でセブンの脚を切り落とした。
カワバタは長年の経験をあてにせず、その時その時の直感を大切にする。今の攻撃はまさに直感によるものだった。
セブンの脚から、血しぶきが吹く。
セブン「ああああ!おれの脚があああ!うわああ…」
カワバタは長い白銀の刀をかまえた。

エイト「ほう。なかなか。どうだ?このぶっとい野糞のようなエイリアンを一緒に殺さないか?これは単なる興味だ。」
ナインとセブンは気を失っている。
カワバタ「ああ。おれもこいつを殺すつもりで、ここにきた。わしはカワバタというエイリアンだ。」

そのとき、ゲンは尿をこぼしていた。
ゲンはナインやセブンと同様に理不尽に切られることを怖れていた。

ムカデがエイトを襲う。
エイトは交わしながら、手刀を甲殻に直撃させる。
だが、ムカデは動じない。
カワバタも甲殻に一線、二線、三線と刀を入れるが、全身の分厚い鋼鉄のような甲殻にほほとんど、傷がつかない。
そういった一連の攻撃はナインとほぼ同じだった。
エイト「ナインの気持ちが分かった。おれは、今、ナインと同じ状況か?酷いことをしたのではないか?」
エイトは申し訳ない表情をしている。
カワバタ「ああ、そうだな。だが、面倒なオレンジ指定のエイリアンは少ない方がいい。人数が多いほど、トラブルになるしな。」
エイト「こいつは全身が硬いな。ふぅ。これ以上手がないってやつか?」
エイトは息を切らしていた。
その時、ムカデの背中に向かって飛び込む人影が見えた。
“カーン!!”
ロコモコは、ムカデの背中に巨大な金槌を叩きつける。
まるで、熱された鉄をハンマーで叩くような、金属と金属がぶつかる音だった。
ムカデ「ほんほーん!」
ムカデの甲殻はほんの少し凹む。
ムカデは、怯んだのか、お腹いっぱいになったのか、飽きたのか、わからないが宇宙船の穴からでていった。
ムカデは宇宙船の外壁をサクサクと登り、ちょうどエイリアン格納庫の丸い屋根のうえで、じっとしていた。
その光景は、良い住処を手に入れたと言わんばかりの縄張りの主張にも見える。

ロコモコ「カワバタ、待たせたな。だいじょうぶか?」
カワバタ「微妙だね。ムカデは実に頑丈!」
ロコモコ「うお!こいつらNo.7とNo.9じゃねえか。」
カワバタ「すまん。ちょっとうるさかったからな。まだ気を失っているだけで、両方ぎりぎり生きていると思うが。」
ロコモコ「こいつらは、結構良い値がついているんだ。ある意味、逃げてなくてラッキーだぜ。あとで手当てしてやるか。」
エイト「貴様は、我を捕獲したロコモコか?」
ロコモコ「ふん。No.8がここで、なにしている?これまた運が良いぜ。あとで檻の中にもどれよ。」
エイト「貴様の命令なんぞ、聞かん。我はレッドであり、ムカデもレッド。我は興味で闘っているのだ。だが、その興味を薄れてきた。同じレッドであるから、実力は拮抗し、勝負はつかないということがわかったからだ」
ロコモコ「ふん。ただの相性の問題だろうが。特にムカデ野郎の場合はな......相性か! くそが!わかったぜ。だから、あいつに第3委員会は声をかけたんだな。」
エイリアン格納庫に吊るされた電球はパチパチと点いたり消えたりしていた。
カワバタ「どういうことだ?」
ロコモコ「そうだな。相性でいえば、このエイリアンに勝てそうなやつが実はこの惑星に1人いる。それはな...」

ーーーーーー
マキ「ふはあ。寝たぜ。そろそろ、おきろ!ミウラ!」
マキは寝ているミウラのケツを踏みつける。
ミウラ「ケツをみるんじゃねえ!!」
ミウラをそう寝言をいいながら、起きた。
ミウラ「くうう!あいつ殺してえ!!どうしてこの村にいない!」
ルース「もう、いいかげんさ、忘れなよ。」
ルースは尻尾をふりふりしながら、あくびをする。
ジック「マキ、はやく準備してを探しに行こう」
ジックはあまり眠れなかったようだ。目が充血していた。
マキ「そうだな。一位を探すか。ただ、闇雲に探してもな。」
原始人「ににゅんにゅんん!」
マキ「なんだよ?」
原始人は外を指さす。
ぼくらは外に出ると、そこには、網に捕らえられた1匹のエイリアンがいた。
原始人村長「まったく。きみたち捕獲者は本当に、この惑星をめちゃくちゃにしているな」
ジック「はあ。なんていうことだあ......」
そのエイリアンはNo.189の以前、マキたちは捕まえた猿型のエイリアンであった。
長い手足は見事に網に絡んでいた。
猿型エイリアン「マキか?ミウラか?この網をなんとかしてくれないか?逃げる気はない。」
マキ「おい。こいつは、この前の惑星のやつじゃないか。」
ルース「なんでここにいるの?ロコモコの船にいるんじゃなかったの?」
ミウラ「いったい、なにがあった?」
猿型エイリアンは、昨夜、ロコモコの船で起きたことを説明した。
マキ「そうか。だからロコモコは、船が襲われることを予期して、苛立っていたのか。はっはは。いいざまだ!」
ルース「どうする?マキ。ロコモコの船にいく?」
ミウラ「いくしかねえだろ。そこにレッドのムカデがいるんだろ?捕まえようぜ。」
ミウラは猟銃に銃弾を詰める。
ジック「ロコモコの船まで、案内できる?」
猿型エイリアン「戻りたくはない。道を教えるだけではだめか?」
ミウラ「立場わかってねえな。案内しろって言ってるんだよ。迷ったらどうすんだよ。」
猿型エイリアン「私は、一体なんのために生きて、なんのために、おまえらの命令に従わないといけないんだ?」
ジック「ここにいたら、殺されるかもよ?それでもいいの?」
猿型エイリアン「殺されることに恐怖を感じる必要はない。ここには私の家族もいない。ソルといったか?私は、ソルという名の薬剤をうちこまれ、もはや、私といえないのではないか?いったい、どうして、殺されることに恐怖を感じる?」
マキ「なんだ?こいつ。ジック、おまえの開発したソルはやばい薬なんじゃねえか?」
ジック「希望っていう言葉は知っている?」
猿型エイリアン「希望?ああ、知っているよ。それは、目標と近い言葉だ。わたしには、目標も希望もない。」
ジック「例えば、道案内をしてくれたら、きみのいた惑星に戻してあげるっていうのは、希望にならない?」
猿型エイリアン「.......」
ミウラ「おい。ジック。それはないだろう。なんだかんだ、おれらが命をかけて、捕獲した奴だぜ。」
猿型エイリアン「ありがたい申し出に聞こえるが、変質した自分という存在は、かつての自分ではない。つまり、昔の惑星は、わたしの居場所ではない。わたしには、どこにも居場所はないんだ」
ルースが話に割り込む。
ルース「きみはたしかに変わったかもしれないけど、その惑星に住んでいる家族は、きみをまっているんじゃないかな。変わった君を受け入れないのかな?」
猿型エイリアン「わからない。ただ、私は自分のことしか考えていなかったようだ。仮に、家族が昔と違う私を受け入れてくれたら、そこは私の居場所となるのか?」
ルース「その居場所が、希望なんじゃないの?少なくとも、あたしはそう思っているよ。」
猿型エイリアン「ああ。そうか。ルースといったか。きみは、不思議とわたしと似ているな。わかった。案内しよう。」
マキ「まあ、こいつの報奨金の代わりに、ロコモコからたんまり迷惑料をもらえそうだしな。よし行くか。」
マキたちは、ロコモコの船に歩き出した。

ミウラ「くそが。」
ぼくはそう呟き、舌打ちをした。

ーーーーーー
サンド「すっかり朝になったね。そして、ここがロコモコの船かい」
クスコ「そのようだねえ。ほら、あそこ見てみなよ。船の屋根の上。」
サンド「ああ。あいつだね。寝てるのか?それにしても実に臭うねえ。見た目も実に臭いねえ。」
ムカデは、屋根の上で蜘蛛のようにじっとしている。船に獲物が入るのを待っているようにも見えた。
クスコ「実に硬そうな虫だね。きっとソルが刺さらないね。というか捕獲するのに網が必要だよな?」
サンド「網は、どうだろうねえ。きっと破けるよね。ほら、足をみてみなよ。まるで、足にびっしりと小さなナイフのような棘がたくさんついているよ。」
そういうと、サンドは電子銃をムカデに向けた。
クスコ「さあ効くかな?」
“ヒューンヒューン”
電子銃で放たれたビームのような光線は、見事にムカデに直撃した。
ムカデはこちらをみた途端、カサカサとこちらに猛スピードで寄ってくる。
サンド「ぜんぜん、効いていないな。逃げるぞ。」
クスコ「こりゃあ、ほんとに、割に合わない仕事だ。」
サンドとクスコは全速力で逃げる。
ムカデはサンドとクスコを追いかけ、あっという間に、距離を詰められた。
ムカデ「うほお。」
ムカデは大きな口を開ける。中の細かい大量の歯が、一斉に動き出す。
サンド「実に気持ち悪いねえ。口の中だと、どうだい?」
”ヒューンヒューン“
サンドは、電子銃を口の中に照射した。
ムカデは口の中に液体の塊を作りだし、その塊がビームを吸収する。
クスコ「おいおい。どうなってるんだ。こいつは。」
ムカデは、さらに口を広げ、嚙みつこうとする。
サンドはギリギリのところでかわす。
ムカデは痰をはくように、液体の塊を吐きだす。
サンド「非常にまずいねえ。気持ち悪いねえ」
クスコ「とりあえず、宇宙船の中に逃げるか、ジャングルの中に逃げるか、だな」
サンド「そうだね。ロコモコを捕獲する必要があるからな。宇宙船にしようか。ムカデは諦めよう。」
クスコ「そうだな。ムカデにこだわる必要はない。自分らの命が優先だ。よし、再び逃げるぞ。」
クスコは、地面に黒いボールを投げつけた。
するとそのボールから、赤い煙が出る。
視覚と嗅覚を麻痺させる効果がある。
2人は全速力で宇宙船に向かう。
ムカデは、赤い煙から脱出した。
ムカデは2人を見失い、うろちょろした後に、屋根に再び登っていった。

リー「てめえらか。うちの隊長が逃したエイリアンを殺していたのは?」
リーは宇宙船の玄関に、1人ですらりと立っていた。
サンド「たしかに何体かは殺したねえ。きみは、ロコモコの部下ってやつかい?きみも共犯だね。」
クスコ「エイリアンは厳重に管理されるべき存在だ。それを簡単に逃しやがって。」
リー「この宇宙船に何用だ?よく見たら、てめえらは確か8位の捕獲者だな?」
クスコ「ロコモコくんを捕獲しにきたんだよ。わかるだろ?彼は、第3委員会の人間として、決してしてはならないことをしたからねえ」
リー「隊長を捕獲だと?何様だ。貴様ら。」
リーは怒りに震えている。
サンド「というわけで、入れてもらえないかい?できれば、穏やかに物事を解決したいんだよ。おれらに勝てるとでも思っているのかい?」
リー「ムカデから簡単に逃げてきた奴らが良く言ったものだな」
リーはナイフを取り出し、クスコに襲いかかる。
クスコは、咄嗟に小刀を出した。
クスコ「しょうがねえな。」
ナイフと小刀が何度もカチンカチンと触れ合い火花が飛ぶ。
リーは走りながら、ナイフを5本、同時に投げる。
クスコは小刀でナイフをいとも簡単に打ち落としていった。
クスコは動き回らず、同じ位置で戦い続けていた。
サンド「まあ、ちょっと落ち着こうか。2対1で勝てると思っているのかい?」
サンドは、電子銃をリーの背中に当てた。
クスコ「おれに集中しすぎなんだよ。小娘だねえ。」
リー「......くそ」
サンド「さてと、では、ロコモコくんのところまで案内してくれ。」
クスコ「へんな動きするんじゃねえぞ。サンドは容赦なく撃つからな。」
ーーーーーー
カワバタ「なあ、ロコモコさん。あの趣味の悪い女、マキが唯一の可能性っていうのはまじか?同期なんだよねえ。」
ロコモコ「ああ。第3委員会では直接の依頼においてメンバーを選抜する際、チームの実績の他に対象エイリアンとの相性を考えるんだよ。いま、マキは村にいるようだがな。」
ロコモコ「とはいえ、新人ばかりを選抜しているというのも引っかかるがな。おそろしくリスキーだ。」
リー「すみません。ロコモコ隊長.....侵入を許しました。」
ロコモコ「!!」
サンドは、リーの背中に電子銃を押し当てていた。
クスコ「ロコモコくーん。これはどういうことだね?」
ロコモコ「なるほどな。てめえらも選抜されたってわけか。8位のベテラン組よお」
サンド「あれ?そこにいるのは、レッド指定のエイリアンじゃないかい?なぜ?檻の中にいない?」
エイト「だれだ?こいつらは?カワバタ。」
カワバタ「日本捕獲者ランキング8位クスコとサンドだ。死神と呼ばれている。」
クスコ「ロコモコくん。悪いけど捕まってくれないかな?きみを第3委員会に差し出さないとね。あと、そこのエイリアンくんは言わずもがなね。」
サンド「重大な罪だよねえ。きみ、選抜されていないのに、この星に勝手にきた口だろお?きみのしたことは混乱しか生んでないんだよ。」
ロコモコ「分かっている。この星からでたら、しっかりと説明するつもりだ。だから、リーを離してやってくれ」
ロコモコは無表情である。
クスコ「説明ねえ。ほんとかなあ?なにもなかったことかのように逃げるんじゃないの?例えば、母国にい!きみさあアメリカという国に守られていないかい?なんとなく匂いでわかるんだよねえ。」
ロコモコは額に汗をかく。
サンド「お。そこのエイリアン動くなよ。まず、きみから、檻の中にはいれ。ここで殺してもいいんだけどねえ。きみは、確かデッドオアアライブってやつだろう?」
クスコ「めんどくせえ。サンド、とりあえず、このエイリアン殺そうぜ。レッド級がうろちょろするのは、新人たちにとってはリスクでしかない。せっかく新人たちは生きていたんだからさ。」
サンド「ああ、そうだね。カワバタくんやマキくんとかいう新人たちも今のところ無事なようで、安心したよ。ある意味それは、ぼくらの使命のようなものだからね。」
サンドは電子銃をエイリアンにむけた。
その時だった。
カワバタは、サンドの腕を長刀で切り落とそうとする。
カワバタの行動は、常に動物的勘を伴うものだ。
その勘は結果的に合理的である場合が多かった。
“キン!”
クスコ「おっと。カワバタくん。なにをしているのかな?おれらは君を守ろうとしているんだよお!!」
クスコは短刀をカワバタの刀に押し当てる。
刀と刀がぎりぎりと音をあげている。
サンド「ひゅうーあぶねえ。さんきゅう!クスコ!手がもってかれるところだったぜ!」
クスコ「どうして、このエイリアンを助けようとした?噂は聞いているよ。爺さんの癖に長年の経験を頼りにしないで、その時その時の動物的勘を頼りにする危ないじじいだってな。」
リーはその間に、ロコモコの近くに走っていく。
サンド「ふん。カワバタくんの攻撃のせいで、リーくんには逃げられ、エイリアンにも攻撃できず。あわよくば、私の腕を持っていこうと。これはいかに。」
クスコ「てめえはどっちの味方だ?日本のおれらか?臭えロコモコか?言え!カワバタ!」
カワバタ「わしは...」
エイト「ほれえ!」
エイトはクスコを手刀で襲う。
クスコ「おっとお!」
クスコはエイトの手刀を交わす。
クスコ「馬鹿なのか!てめえらは!エイリアンと仲良しこよししているんじゃねえ!日本人じゃねえのか!おれら日本宇宙開発公社の幹部を攻撃するということは、日本を敵に回していることになるんだぞ!」
エイト「日本の敵?仲良しこよし?話がでかいねえ。おれは、さっきの借りを返しただけだ。そもそもカワバタの行動は、簡単に生き物を殺すおまえらに違和感を覚えた故の行動だろうよ。おれにはわかる。」
サンド「畜生に言葉を教えるとやっぱり厄介だねえ。ソルなんて使う意味あるのかね?畜生のままでいいだろうに。クスコ、このエイリアンを2人で瞬殺するぞ」
クスコ「ああ。5秒だ。」
ロコモコ「待ってくれ!!サンド!クスコ!」
ロコモコ「エイト。今は、悪いが檻に入ってくれ。」
ロコモコはエイトをじっとみつめる。
エイト「そうか。今の私は危険か。わかった。従おう。」
エイトは檻の中に入る。
クスコ「ふん。」
クスコは短刀をおろした。
ロコモコ「これで、あとの問題はおれとムカデだろう?ムカデはどうするつもりだ?」
サンド「ムカデねえ。諦めるよ。あいつに勝てるやつは今、この惑星に誰もいないからね」
クスコ「別に命をかけてまで戦う義理はないな。生きている状態での捕獲であれば、なおさら割に合わなすぎる。命からがら逃げたという報告は、第3委員会にとっては、案外嬉しい報告なんじゃないか?最終的に、もっと上位のやつらが捕獲するだろうよ。」
ロコモコ「てめえら、知っていたのかよ。あいつは連れてこられた違う惑星のエイリアンだってことを。」
サンド「まあ、なんとなくね。あいつの匂いは、この惑星のものじゃないからね。」
クスコ「サンドもそう思っていたのか!おれもそう思っていたぜ!突然変異にしては、匂いがえぐいっていうかさ!」
サンド「ロコモコくん。じゃあ、ぼくらの船で、君を第3委員会に連れていくよ。この船はべつにこの惑星に置いたままでいいだろ?リーくんや君たちの部下も共犯のようだから、ついてきてもらおうか。」
ロコモコ「ふん。好きにしやがれ。」
クスコ「カワバタくんは自分の船で帰れ。仲良しこよしのエイリアンを連れてな。ちゃんとロコモコの代わりに納品するんだぞ。これは、おまえを試しているってことだ。意味はわかるな?」
カワバタ「.......」

“バアン!!”
その時、船の外から、銃声が聞こえた。
ロコモコたちは、一斉にみんなで外をみた。
ロコモコ「あいつら!!」
クスコ「まったく!無謀な!」
サンド「新人じゃないか!」
クスコはすぐに窓を開けた。
クスコ「おい!てめえら!逃げろ!てめえらじゃ、敵わねえ!命を大切にしやがれ!」
カワバタ「どっかできいたことのあるセリフだな」

銃弾はムカデの分厚い甲殻に食い込む。
ミウラ「だれだ!てめえら!!うるせえ!なんとかするんだよ!おれはこのチャンスを生かすんだ!!」
ジック「銃弾が食い込む!?硬くて、これじゃあ、ソルが打てないよ!」
ルース「マキ!こっちにくるよ!!」
マキ「ははは!こいつがレッドか!たしかに!今までのエイリアンとはスピードも硬さもちがうねえ!!」
マキは電撃棒にスイッチを入れる。
ミウラは、マキから離れ、走る。
マキ「ルースとジックは少し離れたところにいてくれ!そして猿!もう案内はいいぞ!ありがとな!」
猿エイリアン「生きる目的か。こいつらは、死ぬかもしれない戦いに臨んでいる。おれは、一体なにがしたいんだ……」
マキ「ははは!この惑星の生き物みんな、こいつに食われたのか!!」
マキは興奮している。
ジック「ほら!ルース!早く!離れるよ!」
ルース「分かった!」
ルースとジックは、たいまつを持っていた。
炎の近くには寄ってこないと聞いていたからだ。
ムカデ「うおおおん!」
ムカデは、ミウラを狙い、追ってくる。
“バアン!!”
ミウラは近づいてくるムカデに再度、撃ち込む。
再び、銃弾は甲殻に食い込む。
ミウラ「こいつ、効いてねえ!そっちに誘導してくれ!」
マキは「ほらあ、てめえの親戚のネズミだあ!」
マキはネズミを電撃棒で焼き殺す。
ムカデ「ぬおおおん!!」
ムカデは激高したかのような奇声をあげる。
マキ「やばりな!!」
ムカデはミウラを追うのをやめ、マキのもとへカサカサと猛スピードで向かう。
“バアン!!”
“バアン!!”
ミウラは再度、後ろから2発ムカデに銃弾を撃ち込む。
銃弾は甲殻に食い込む。
ムカデはミウラの方をみる。
ムカデ「ぬおおおん!」
ミウラ「ほらあ、ネズミを殺してやるぜ!」
ミウラはネズミを踏み潰し、そのネズミをムカデに投げつけた。
ムカデ「ぬうううん!!」
ムカデは再度、ミウラの方に向きを変えた。
ルース「どういうこと?」
ジック「あのムカデは頭が弱いんだよ。ネズミとあいつは仲良しっていうのは、本当だったんだね。村長のいうとおりだ。」
マキ「油断したな!おらあ!」
マキは電撃棒をムカデの甲殻にがっつりと直撃させた。
ムカデ「ぬうううん!!」
ミウラ「効いたか!」
だが、ムカデは何事もなかったように、巨大な体をマキにぶつける。
マキ「うわああ!」
マキは吹っ飛ばされ、太い幹の樹木に背中をぶつける。
ジック「マキ大丈夫!?」
マキ「いてえな!くそが。電撃効かねえのかよ!!」
“バアン!!”
ミウラ「おらあ!」
ミウラは銃弾をムカデに撃ち込む。
ムカデはミウラの方に全速力で向かう。
大きい口を開き、小さな大量の牙をミウラに向ける。
ルース「ミウラ!!逃げて!!」
ミウラは躱せそうになかった。
その時、横から、ミウラを押す、ごつい腕が見えた。
ゲン「おらああ!!」
ゲンがミウラを押しのけ、槍でエイリアンの攻撃を防いだ。
槍はちょうどよくエイリアンの口に挟まり、口を閉じようにも閉じることができない状態になった。
ミウラ「てめえは!おれのけつを見やがった原始人じゃねえか!!」
ゲン「囮役なんだ!おれは!!あんな理不尽なエイリアンとカワバタの近くにはいたくないんだ!」
ミウラ「なにを言っているんだ!こいつ!!だが、助かったぜ!原始人そのままにしてろ!」
“バアン!!”
ミウラは口の中に銃弾を撃つ。
口の中に液体が銃弾を包み込んだ。
ミウラ「なに!?」
痰を吐くように、そのままゲンに吐き出した。
ゲンの全身は焼けるように、皮膚がただれだした。
ゲン「うわあああ!」
ゲンは動かなくなった。
ジックはたいまつをムカデに投げた。
ムカデは一瞬怯むが、すぐに炎から離れ、ミウラの方を向いた。
ミウラ「まじかよ。」
ジック「本当にやばいよ。こいつ。」
ルース「これ勝てないんじゃないの?」
マキ「背中が痛え。」

マキ「しょうがねえ。デッドオアデッドだ!このままだと、誰かが殺される!責任は私がとる!!」
ルース「責任?どういうこと??」
マキ「ムカデやろう!こっちを見ろ!最後のネズミだぜ!ミウラからはなれろ!おい!こっちを見やがれ!ネズミを殺すぜ!」
そう言うとマキは、ネズミを電撃棒で再び焼く。
ムカデ「ぬううおおん!!」
ムカデは全速力で、マキの方へ向かう。
マキは電撃棒のスイッチを切った。
まるで、実技試験のあの時のようだった。
マキ「じゃあな。ムカデやろう!!」
マキはムカデの突撃を躱し、後ろに回り込む。
そして、電撃棒を叩き込む。何度も何度も。
霧状の緑の粒子が、ムカデの体を覆う。
マキはこの惑星で唯一の毒使いだ。
ムカデ「ぬえええん!」
マキ「ミウラ!銃弾を撃ち込め!少しでも傷をつけるんだ!」
ミウラ「ああ!いくぜ!!」
“バアン!!”
“バアン!!”
マキは格好悪く、泥臭く電撃棒を叩き続ける。
“ドーン!”
ムカデは腹を空に向け、くにょぐにょとのたうちまわる。
まるで殺虫剤に苦しむ虫のようだった。
そして、ムカデは動かなくなった。

ロコモコ「おい......やりやがったよ......」
クスコ「おいおい。殺してしまったのか?いいのかい?」
サンド「実にあやしいねえ。殺すことで、第3委員会はなんというかねえ。クスコ、新人たちをフォローするかい?」
カワバタ「相変わらず趣味が悪い攻撃だな。だが、今回はマキにしか倒せなかった。」

ミウラ「マキ!!だいじょうぶか!」
マキ「ああ。毒を少し吸い込んでしまったがな。横になりたい。背中が痛いんだよ。」
マキはゆっくりと横になった。
ルース「マキ!!」

ジック「ソルを打てなかった。硬いエイリアンにも打てるソルが必要なんだ。そうすれば、殺す必要もなく、こんなことにならなかったのに……」

ーーーーーロコモコ宇宙船 ちょっと離れたところ
“プルプルプルプル”
クスコの携帯端末が鳴る。
第3委員会本部フジサワ「クスコか。惑星モーツァの件はどうなった?」
クスコ「もしもし。あーあのエイリアンか?生け捕りには失敗したねえ。つまり死んだよ。まぁ、新人は加減がわからないようでねえ。そうそう、あれ、日本政府が一枚かんでるんだって?」
第3委員会本部フジサワ「……」
フジサワは一瞬無言になる。
第3委員会本部フジサワ「そのことは知らない方が身のためだ。おまえとサンドがいながら、なぜ、殺すのをだまって見ていた?その場にいなかったのか?」
クスコ「そう言ってもねえ、フジサワさんよお、あいつ殺さない限り、連れて帰るのは無理よ。おれが言うんだから、間違いない。第3委員会のチーム選抜の仕方が悪いねえ。一応言うけど新人のマキを責めるのはお角違いだからねぇ。もし、あの女に何か処分とか考えているなら、さっきの日本政府うんぬんの話、ことを大きくしちゃうよ?新人は自由にやらせる方がいいのさ」
第3委員会本部フジサワ「脅しのつもりか?脅しのつもりなら、後悔させてやるぞ。貴様は、とんだ後輩思いだな。マキには、責任というわけではないが、これから馬車馬のように働いてもらうつもりだ。」
サンド「ちょっと変わってくれ」
クスコ「サンドが話したいことあるってよ。変わるぜ。」
第3委員会本部フジサワ「なんだ?サンド。」
サンド「悪いんだけど、割に合わないぜ?」
第3委員会本部フジサワ「そんなことか?」
サンド「そんなことだと?」
第3委員会本部フジサワ「てめえらの食い扶持はな、俺らが握ってるんだよ。変わりはいくらでもいる?分かるか?」
サンド「そうか。一介の労働者をそのように扱うのか。第3委員会も昔と変わったな。もう話すことはない。じゃあな」
“ブチッ”
サンド「気が変わったよ。クスコ。ロコモコの野郎をこっちの仲間にするぞ。」
クスコ「はは!実に臭いねえ!」

ーーーーーーロコモコ宇宙船内 昼

ロコモコ「リー、No.7とNo.9どうだ?あとゲンは?逃げたエイリアンは?」
リー「No.7とNo.9は体液大量流出で死にそうですよ。ぎりぎり生きてますが。ゲンは、火傷みたいな症状です。命に別状はありません。あと、その他、逃げたエイリアンは、探知不可能な位置にいます。まぁ、広い惑星ですからね。」
ロコモコ「そうか。第3委員会にどう説明したら良いか悩むぜえ!あー!やばい!」
リー「感情的な判断をするからですよ。まぁそれがステキなところでもありますが。」
リーは小さく呟く。
カワバタ「えりちゃあん!戻ったよ!」
エリ「はやく、帰ろうよー!もうこんなところにいたくない!!」
カワバタ「よし帰るかあ!えりちゃあん!!エイト!おまえも来るか?」
カワバタ「ロコモコさん!いいだろ?クスコだがサンドのいうとおり、こいつ連れて行ってもいいだろ?」
ロコモコ「なにい!ちょっと待て。おまえも来るかってどういうことだ?おれの代わりに納品するんだぞ?ちゃんとな!そいつは!レッドだぞ!金になるやつだ!」
カワバタはエイトの檻を開けた。
カワバタ「納品?さあな?わしは金に困ってないんだな。これが!」
エイト「カワバタ。貴様の刀は我の刀とどちらが鋭い?」
エイトは手刀をカワバタに見せる。
カワバタ「わけのわからないこと言ってんじゃねえよ!わしの船に行くぞ!エイト!」
エイト「……」
エイトにとっては、エイリアンジョークのつもりだったらしい。
エリ「あたしを襲うなよ!おい!聞いてるか!無視するな!」
エイト「……」

ミウラ「おい!マキ!大丈夫か?」
マキ「なんとかな。背中が相変わらず痛いが、たいしたことはない。それよりジックだ」
ジック「ぼくが、硬い皮膚を貫通するソルを…開発しないと......エイリアンも死んじゃうし、みんなが怪我をしてしまう......ネズミだって、無駄に殺しちゃってる......」
ルース「ジック。気にすることじゃないよ。マキも無事なんだからさ。ネズミはまあ作戦というかさ!」
マキ「ジック、なにか勘違いしてないか?まぁ、そろそろ、マキタンクに帰ろう。そのムカデ野郎を引っ張ってな。」


“プルルルルプルルルル”
ロコモコ「なんだ?」
クスコ「ロコモコか?クスコだ。てめえスパイだろ?あー君付けは卒業だ。」
ロコモコ「急にいなくなったと思ったら、そんなことか?おれを捕獲するんじゃなかったのか?」
クスコ「そんなことだと?だれもかれも舐めやがって。貴様のしたことを第3委員会に報告しようと思ったがな、相棒のサンドがヘソをまげちまってよ。おまえはこれからどうするつもりだ?馬鹿正直に第3委員会に納品予定のエイリアン、すべて逃しました。ごめんよお。っていうつもりか?」
ロコモコ「言うしかねえだろ。それが仲介業者の責任だろ?」
クスコ「おいおい。まだ仲介業者っていうのかよ?第1委員会御用達の捕獲者のくせによお。」
ロコモコ「知っていたのか?」
クスコ「やはりな!!はっはー!当たりだぜ!かまをかけてみるものだな!」
ロコモコ「ふん、もはや、ここにいるほとんどのやつが知っとるわ。」
クスコ「面白い話をしてやろう。貴様はそのまま、アメリカに帰れ。そして、第3委員会がこの惑星で画策したことをすべて話してしまえ。てめえの第3委員会仲介業者は今日で終わりだ。第3委員会に納品するエイリアンの情報をスパイとして入手するつもりだったんだろう。だがな、そのエイリアンをすべて逃して、多額の損害を日本に与えたって言えばいい。スパイとしては最高の栄誉だろ?そして、ここからが重要だ。よく聞け。」
ロコモコ「なんだ?」
クスコ「第3委員会仲介業者は追放されたが、代わりに食い扶持を見つけたというんだ。」
ロコモコ「食い扶持だと?」
クスコ「我ら日本宇宙開発公社に入れ。老舗の日本宇宙開発公社はな、昔々から第3委員会の座を狙っているんだよ。日本政府は次に指名するのはうちの会社だ。それは根回しがすんでいる。どうだ?ロコモコ?分かったろ?この惑星で起きたことをすべて上に伝えて、1ヶ月以内に今の第3委員会をアメリカの力で失脚させるんだよ。そして、ロコモコが新生第3委員会の幹部だ。どうだ?スパイとして腕がなるだろう?」
ロコモコ「確かにな。だが、おれがアメリカの第1委員会に情報を流せば、日本宇宙開発公社による第3委員会もデメリットになるだろう?」
クスコ「わかってねえな。アメリカ第1委員会と日本新生第3委員会で手を組むんだよ。それも実績になるだろうが。てめえはその橋渡しであり人質だ。最終的には、ロシア第4委員会・中国第2委員会・インド第5委員会が抱え込むエイリアンというすべての知的財産・機密情報をすべて、日本とアメリカのものにするんだよ。世界の経済を手に入れるということになる。どうだ?友好国としてはカッコいいだろ?ちなみにな、裏では、中国とロシアは手を組んでいるぞ。もうすでにな。その話は、てめえの上も知っているだろう。このままだと、日本もアメリカも世界に取り残される可能性が高いんだよ。」
ロコモコ「村長に携帯端末を持たせる必要があるな。」
クスコ「どういう意味だ?」
ロコモコ「村長はアメリカ人なんだよ。たまたまな!証人だ!現地人の目撃証言としてな!ふん。スパイ冥利に尽きるぜ。胸が踊っているってことだ!くそが!!」

ーーーーーーマキタンク
マキ「どうだ?ミウラ。こいつは最高のエイリアンだったか?」
ミウラ「最高のエイリアンか。こんな見た目が糞みたいなやつ、こっちから願い下げだ。マキに負けてるようなやつ、最高のエイリアンとは言わねえ。」
マキ「なんだと!このやろう!てめえの猟銃ぜんぜん効いてなかっただろうが!」
マキは寝ながら言う。マキは笑っていた。
マキ「次の星で見つければいいさ。第3委員会から直接の依頼がすぐにくるだろうよ。ただな、直接の依頼は、第3委員会の闇の部分が垣間見えた依頼だったな。」
ミウラ「闇ねえ。確かにな。べつに、おれらの目的と反しない限り、気にしなくていいことだろ?おれの復讐と反しない限りな。」
マキ「祖父を殺し、そして親父を誘拐したエイリアンを最高のエイリアンで殺すか。最高のエイリアンとはなかなか難しいな。」
ミウラ「まあ、しいていえばゲンの野郎が最高のエイリアンに近いな。危険を顧みず人間を助けるエイリアンか。」
ぼくは独り言のように話した。
マキ「そういえば、どうしてあいつミウラを助けたんだ?知り合いか?どこいった?」
ミウラ「知るかよ。全身、火傷しているにもかかわらず村に帰っていったぞ。まあ、村長に立候補するって言ってたな。また、いつかこの惑星に来る気がするぜ。」

ルース「ねー、マキ聞いてよ。あの後、あたしと同じエイリアン見たことないか、リーさんに聞いたんだ。でも見たことないってさ。あたしやっぱり2000外の可能性大なんだって。あーあ。旅は続くねー。ていうか続けてもらうよー!」
マキ「もちろんだよ。ルース。ただ今回の実績はでかいぞ。もしかしたら2000外にいけるかも知れないぞ。」
ルース「今回の実績ってなに?なんもないじゃん。生きた状態じゃないとダメでしょ?この死体どうするの?結構、臭いんだけど。」
マキ「なにを言っているんだよ。ルース。」
ルース「?」
マキ「ちゃんと生きているじゃないか。まぁ、当分動けないと思うけどね。フジサワってやつだったか。早く1000万くれくれだぜ。」
ルース「え!?生きてるの!?」
ミウラ「な、なに!?」
ミウラは硬い甲殻に耳を当てた。
ムカデ「ぬおおんぬおおん。」
ムカデは弱々しく悲鳴をあげていた。
マキ「誰が死んだって言った?そこらへんはしっかりやるよ。なぜなら、わたしがリーダーだからな!はっはっは!」
マキは寝ながら笑う。
ルース「えー!!マキ!!すごーい!!」
ジック「死んでなかったんだ!よかった!地球に帰るまで、宇宙船の中にいるうちに、こいつに打てるソルを開発してやる!」
ジックの落胆は突然、喜びに変わった。
ジックは感情の起伏が激しい。

マキ「さあ、今回の旅はこれで終わりだ。地球へ帰ろう」

ミウラ「地球に着いたら海鮮丼でも食べに行こうか。マキ。お祝いだ。」

マキタンクは地球へ向かった。



ある有名な話がある。

人類で初めてエイリアンを捕獲した人間の話だ。

2108年、ある惑星間旅行の権利を宝くじで当選した製薬会社の若手職員ピーターグレインは民間宇宙船に搭乗し人類未踏の惑星におりたった。いわゆる探検ツアーをしていた。

そのとき、手のひらほどの小さい人型のエイリアンを見つけ、ピーターが、思いつきで地球に連れてきたのだ。

そのエイリアンは人間に敵意剥き出しで、常にギャーギャー騒いでいた。

その様子は報道されるとすぐに、ライバルの製薬会社は盛大に

「誘拐!拉致!人道的ではない!」等のネガティブキャンペーンを展開した。


その後、ピーターグレイン氏は、インタビューで次のとおり場当たり的な、でまかせを話せ、と製薬会社の幹部より命令された。


「このエイリアンは、当時地球で流行していた南極風邪の薬の材料となる。」

「その研究のために連れてきた。」

「このエイリアンは、惑星で重大な怪我をしており死ぬ直前だった。」

「その怪我を地球の技術で回復させた。」


「だから、私たちは人道的なことをしているのだ。」


当時の地球では、太古のウイルスが原因とされた南極風邪が世界中に猛威をふるい蔓延していた。

致死率16%という近年、類をみない伝染病であった。


一方、ピーターは土産用として、惑星の草木や鉱物を大量に採取していたことに気づく。

「その大量のお土産を使用し、抗ウイルス剤の開発に生かす。」

すぐに優秀な製薬士が集められ、特効薬を開発するに至った。とあるシダ系の植物から調製された。


ピーターは、開発の経緯を説明する際には、シダ植物の話は一切せず、

「このエイリアンが重要なキーであった」と嘘の発表をした。

「このエイリアンが捕獲したからこそ、特効薬を開発することができた。」と。

ピーターの製薬会社の評判は結果的に上がった。


そして、このエイリアンは人類の救世主のアイコンとして生かしつづける必要があった。

そこで、会長は世界的に著名なゴリラ研究家を飼育係に任命した。

すると、そのエイリアンの学習能力が異常に高いことが判明し、すぐに人間の言語を学んだ。

最初は敵意むき出しだった。

だが、言語を覚えたことで人間に対して好意的なコミュニケーションをはかることが可能となった。

遺伝子学においても研究者にとっては興味深い存在となる。すぐに、成長速度を動物や人間へ応用できないかと命題がうたれ、数多くの論文が発表された。


研究の結果、成長限界は人間と同程度もしくは少し下あたりで停滞することが判明する。

つまり、周辺環境にあわせて成長する可変的な遺伝子であることを示していた。

人間が大幅に成長しない限り、いや、進化しない限り、人間の能力を決して超えることはなかった。


なお、その手のひらサイズのエイリアンは「ソル」という愛称で呼ばれていた。


ピーターグレインが老衰で死ぬことになるが、

その死ぬ間際に「ソルの開発について」及び「南極風邪の実話」の寄稿文が全世界へ発信された。


その寄稿文は衝撃的なニュースであった。

その後、ソルは会長の後を追うように、死んでいった。

意外かもしれないが、会長とソルはたいへん仲がよかったらしい。


ソルの遺体は建前上、埋葬ということになっているが、科学者の性だろうか。秘密裏に分析・解剖された。

その分析において、ソルには隠れた長い尻尾があることが判明した。

その尻尾は死んでもなお、サイケデリックな色合いをしていたという。